「タトゥーの何がイケないの?」と言うことの何がイケないの?
「わたしの何がイケないの?」という番組を知っていますか?
これは「現代女性の悩みや病み、さらには流行までを女性目線で描く」という番組で、さまざまな「専門家」や「コメンテーター」を呼んで意見を交わすというものだったようです。(現在は番組終了)。
私はこの番組をいつもは見ていなかったのですが、たまたま一度見た放送内容が今でも強烈に印象に残っています。それは、2016年2月15日に放映されたもので、トピックはタトゥーについてだったのです。
損するからやめなさい、タトゥーなんて。
この番組では、私が視聴した回のさらに数年前にも、タトゥーをトピックとした回が放送されていたようでした。その際には、タトゥーを入れている若者たちが登場し、専門家やコメンテーターは若者たちを非難し、タトゥーをやめるように説得していたようです。
前回の放送から数年経過し、このときタトゥーを気軽に入れていた若者たちはどうなったのか。それが、私が視聴した回のテーマでした。
前回の放送では、タトゥー肯定派として登場していた、モデルのみぽち(坂本美穂)さん。
あれから数年たち、彼女はタトゥーを消していたのです。
なぜか。
それは、日本社会で生きていくのにタトゥーは障害になると気がついたためだと言うことでした。
しかし、一度刻んだタトゥーを消すのは、非常に大変です。レーザー除去するにも、大変な痛みを伴います。番組では、彼女のレーザー除去に密着し、その痛がる様子が映し出されていました。
周りの大人たちは、その痛がる様子、重ねて彼女がタトゥーを入れたこと自体に対し、
「ほら、言ったでしょ?」
「私たちの言うことに従わないからこうなるのよ」
と、彼女を責め立てています。
でも、そもそもなんでタトゥーってそんなにダメなものなんでしたっけ?
タトゥーを入れる、その行為自体は本来悪なのか?
私が留学していたスウェーデンでは、タトゥーを入れることはごくごく普通のことでした。
どれくらい普通なのか。
私が周りの人の様子を見た感じだと、たぶん、日本の人がピアスの穴を開けることよりも、ずっとずっと普通のことだと思います。
私も、友人のおなかにタトゥーがあるのを見かけたこともあったし、クラスメイトの背中いっぱいに世界地図が描いてあるのも見たことがあります。
ここでは、タトゥーを入れることを非難する人は誰もいません。
(これは、ドイツで見つけたポストカード。なかなか私にとってインパクトのあるデザインだったので思わず手にとってしまった…)
一方、日本では、まるで何か犯罪をおかしたばかりの非難っぷり。
確かに、日本社会ではタトゥーはあまりいい目で見られていないのが現状です。
でも、そのことを考慮に入れたとしても、この番組での批判する姿は私には気持ち悪く映りました。
ルールがあるのだから、それに従いなさい。
と言わんばかりのその姿に。
これは、タトゥーに対する批判ではなく、自分たちのルールに従わないことへの非難である
別に、タトゥーを入れるのは法律上ではルール違反ではありません。
例えば、これが人を殺めることとなると、話は変わってきます。これは法律で禁止され、それに相当する罰則もあります。
スウェーデンでは寛容に受け止められているタトゥーが、なぜ日本ではこれほどに非難されなくてはならないのでしょう。
これは、「そんな風にすると苦労するよ」という、ただの警告だったのでしょうか。
私には、そうは思えませんでした。このときの批判は、タトゥーそのものではなく、「だから言ったのに。」という、ルールに従わなかったことへの批判だと思えたのです。
「私たちの作ったルールに背くな」
「私たちが正しいと思うことに従え」
このとき出演していた「大人」の人たちは、
彼らがタトゥーを入れたままだと生きにくいため、「良かれと思って」言ったということになっているでしょう。
実際、若者たちはタトゥーを除去している訳ですから、大人たちの言うことは正しかったのかもしれません。
でも、「タトゥーを入れたことがある」という事実はもうどうやってもなくならないはずなのに、なぜ終わったことをそこまで非難されなくてはならないのでしょうか。
それは、「ルールに背いたこと」への非難に他ならないからです。
時や場所が変われば、ルールは変わってきます。
今非難されていることは、10年・20年後には、普通になっているかもしれません。
自分のせまい世界だけを全てだと思うと、それ以外の世界が全く見えない。そして、新しい発想や発見も生まれないのではないか。
というのを、私はこの番組で感じました。
そして、私は、このようにただただ自分の知っている世界だけには閉じこもらないぞ、
とこの番組を見て決意したのでした。
ここまでつらつらと番組への批判めいたことを書きましたが、
この番組がどう作られているのか、
私にはわかりません。
もしかしたら、タレントたちの発言は
意図的に切り取られ、編集されているのかも。
情報をうのみにせず、これからも精進していきたいと決意を新たにした次第です。
今日はここまで。
では〜。