ちせログ

スウェーデンに留学したり、文系で修士取ったりしている人のブログ。

役割に縛られず、自由に生きることは幸せか

スウェーデンって聞いて、

みなさんはどんなイメージが浮かびますか?

 

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静かで、落ち着いた暮らしをしている、

そんなイメージの人もいるんじゃないかと思います。

 

……なんですが、

実はスウェーデン人って離婚率がめちゃめちゃ高いんです。

ちょっと意外じゃないですか?

 

今回は、そんなスウェーデン人の結婚観を通して、

日本とスウェーデンの社会について考えてみたいと思います。

 

結婚してもしなくてもしなくても、同様の恩恵が受けられるスウェーデン

スウェーデンでは、「サムボ法」という、

事実婚を認める法律があります。

 

つまりどういうことかというと、

戸籍上結婚していてもしていなくても、

カップルとしてさまざまな制度が整っているということです。

 

だから例え、結婚していないカップルの間に

子どもが生まれたとしても、

結婚しているカップル同様に

国からの教育援助を受けることが出来ます。

 

なので、そもそも「結婚」という形に

こだわる必要がないんです。

 

ちょっとデータが古いですが、

詳しく知りたい人はこのページなどが参考になります。

www.esri.go.jp

 

スウェーデン留学時代、

私の周りにも、恋人と同棲している人がたくさんいました。

 

一度、恋人と長いこと同棲しているスウェーデン人に

「恋人との結婚は考えてないの?」と聞いたことがあるのですが、

「そうだねぇ、私が結婚するときは、

結婚式のパーティーをしたくなったときかな」

と、冗談ともつかない答えが返ってきました。

 

このように、既に同棲しているカップルにとっては、

結婚してもしなくても、生活が全く変わらないので、

結婚そのものが

あまり大きなイベントではなくなっているようでした。

 

また逆に、例え結婚したとしても

離婚のハードルも非常に低いようです。

 

私の友達のお母さん(スウェーデン人)は、

久しぶりに旧友に会った際に「まだ同じ人と結婚してるの?」

と驚かれたそうで…。

 

だから、それくらい離婚も、ここでは普通のことなんです。

 

福祉国家個人主義

スウェーデン福祉国家なので

シングルマザーやシングルファザーでも

子育てできる条件が揃っています。

 

婚外子、つまり結婚していないカップルの間に

もうけられた子供に対しても、

結婚しているカップルの子どもと

同等の支援が政府から与えられます。

 

また、(公立であれば)大学まで学費は無料だし、

子供に対する補助金も出るしで、

離婚しても金銭面では安心できます。

 

日本だと、離婚したいけど子どものために我慢…!

という話も聞きます。

シングルマザーの経済的負担は大変なものだとも聞きます。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

けれど、スウェーデンでは、

離婚しても子どもに不利に働くことがないので、

その点は安心して(?)離婚することができるというわけです。

 

このような福祉国家の制度のもと、

スウェーデンでは、自立した個々人が、

自分のことは自分でやることが求められます。

 

wvs.structure-and-representation.com

 

(↑この研究によると、スウェーデンは非常に「自己表現に価値」を置く社会だそうです。

どれほどこの研究が立証的なものかという検討はさておき、1つの指標にはなりそうです。)


福祉国家だから自立しているのか、

自立しているから福祉国家が発達したのか。

どちらなのかという議論は、

鶏が先か卵が先か…

ということになりましょう。

 

 離婚率が高くても問題はないのか?

 それでは、日本と違った価値観や社会背景がある

スウェーデンでは、

離婚率が高くても全く問題ないかというと…。

 

それはまたちょっと違う気がしています。

 

ここからは推測の域を出ませんが、

このような個人主義的社会だからこそ

自分の好きなように生きられる一方で、

自分の行動に対して

きちんと責任を持たなくてはいけません。

 

子供も大人も、自立していることが求められます。

しかし、これに対して否定的な意見もあり、
私の留学仲間は
スウェーデンでは人が自立しすぎて、
お互いに助け合いをする精神がないのではないか」
と言っていました。

 

離婚率が高いスウェーデンですから、当然再婚率も高いわけで。

連れ子がいることも多いわけです。

連れ子同士や、親子関係がうまくいかない…

という話もしばしば耳にします。

 

でも、離婚も再婚も、個人の選択です。

カップルが、「親」という自分の役割に

縛られすぎず、自分で選んだ道です。

 

 

先にも述べましたが、日本では「子どものために」といって

離婚を我慢する人も多いですよね。

 

確かにこれではちょっと息苦しい、と思いますが、

かといってスウェーデンの真似事をしたって、

いきなり幸せな社会が得られるわけではないと私は思うのです。

 

 

日本で、「スウェーデンのような福祉制度を導入しよう!」

というような議論を見るたびに、

「これ、ちゃんと日本とスウェーデンの社会背景の違いや、

メリットデメリットの両方を

検討したうえで導入しようとしてるのかな?」という気持ちに

私はなるのでした。

 

 

今日はここまで。

いつかこのブログで教育の話もしたいな。

では~